液体化されたガスを貯蔵する地上タンク
パイプとタンクの接続部が大きな地震の揺れで断裂すれば
ガスが漏れ続け、引火、大爆発する危険性がある。
(1)LPG爆発想定|震災10年目|阪神・淡路大震災|連載・特集|神戸新聞NEXT
神戸市東灘区御影浜町の「エム・シー・ターミナル神戸事業所」。一九九五年一月十七日、阪神・淡路大震災の直後からガスが漏れた。高さ三十メートルのタンクとパイプをつなぐ直径四十センチの元弁から漏れる量は、余震のたびに増えた。
所員が決死の復旧作業を続けた。消防署は火事で手が回らなかった。市民はまだ知らない。
空気より重い無臭のガスは、濃度次第で静電気でも爆発する。タンクは高さ三・六メートルの防液堤で囲まれ、ガスのたまったその内側に降りないと、元弁に近づけない。
「命がどうなろうが、なんとかせなあかんかった」。当時、LPG課長だった福井仁さん(61)は宿直室の毛布を切り、元弁に巻いた。毛布に水をかけてLPGの気化熱で凍らせ、漏れを止めようとした。しかし、だめだった。水滴は毛布を突き抜け、幾筋も垂れた。