その45 もう、テレックスの時代じゃないけれど…。 | 三省堂国語辞典のすすめ(飯間 浩明) | 三省堂 ことばのコラム
EメールやFAXがない時代、海外とのやりとりはどうしていた?|大塚商会
電報とテレックスがメインの手段でした。
「テレックス」と言っても、最近はご存じない方が多数だと思います。
タイプライターのようなキーボードが付いている通信機器で、メッセージを打ち込んで送信ボタンを押すと、送り先のテレックス端末に印刷されて出てきます。FAXの前身のようなものですね。
当時は短いメッセージであれば電報、比較的長い文章を送る場合はテレックス、という具合に使い分けていました。アナログな手段だと、手紙でのやりとりも多かったですね。
テレックスは送信する文章の長さによって通信料が変わるんです。ですから、料金を安く抑えるためにも「省略可能な単語はできる限り省略する」というのが鉄則。例えば「a、i、u、e、o」といった単語の母音は基本的に削ります。「item」という単語は「itm」という具合に省略するんです。
こうしたルールに早く慣れようと、入社後しばらくは海外から送られてきたメッセージを全てファイリングして、暇さえあれば読み返して勉強していましたね。
左の分厚い本は「ACME CODE(アクメ・コード)」と呼ばれる電報用の単語帳。電報でのメッセージのやりとりは、この単語帳を参照しながら行っていた。右の書類はテレックスで実際に送られてきたメッセージ。
長い文章をミスなくタイプするのは至難の業です。そこでテレックスではまず、セロハンテープのような細長い専用テープに下書き的な形でメッセージをタイプするんです。すると、点字のような模様が打ち込まれた長いテープがテレックス本体からダーッと出てくる。そのテープを送信口に流し込んで、メッセージの送信が完了します。