猛毒のメタル水銀を工場から海に
「何もせずに」垂れ流した「チッソ」という会社によって
引き起こされた「水俣病」
"徳江氏の父・毅氏は、新日本窒素肥料(現在のチッソ)水俣工場の技術部長、工場長を経て専務を務めた方だ。
徳江倫明氏は「水俣病の原因が工場廃液ではないかと疑われた時、なぜ、廃液浄化装置をつけておかなかったのか。そのような判断にいたらない企業の価値観、リスクを低減する仕組みを作らない企業のあり方こそ問われるべきだ」と話す。"
"つまり日本社会に定着させるべきなのは、人も企業も必ず誤りを犯すということを前提にした「予防原則」という考え方、仕組み作りだ。"
"廃液浄化装置の設置費用は当時でも数百万~1000万円程度であったと推定される。その対処をしなかったばかりに、チッソはその後、1700億円以上の補償金・一時金を支払うことになった。これは経営陣としてもあまりに大きな判断ミスと言わざるを得ない。"
結局、企業が外部専門家や消費者の声を経営判断に取り入れるかどうかで、その後の帰趨は大きく分かれる。専門家の意見は真摯に受け止めるとしても、名も無い消費者の声はかき消されがちだ。しかし、そこに「真実の瞬間」がある。
福島第一原発事故において、政府や東電にとって最大の「ポイント・オブ・ノー・リターン」は2006年10月、共産党の吉井英勝衆院議員(当時)の国会質問と言ってよいだろう。
同議員は福島第一原子力発電所を含む43基の原子力発電所について、地震によって送電線が倒壊したり、内部電源が故障したりすることで引き起こされる電源喪失状態や、大津波によって冷却水の取水が不可能になることによる炉心溶融の可能性を指摘していた。
回帰不能点
手遅れになる寸前
ポイントオブノーリターン
『[CSR]「ポイント・オブ・ノー・リターン」を通り過ぎないためには』2013/08/30